歯周病とは
歯周病は口腔内の歯周病原性細菌によって歯肉の炎症を引き起こし、放置すると歯を失ってしまう病気です。最近では歯周病の低年齢化が報告されており決して高齢者だけの病気とは限りません。しかしわが国では、さまざまな理由から重症になるまで放置されているケースがほとんどです。進行中は痛みがほとんどなく、同時に何本もの歯がまとまって起こります。歯周病原性細菌により歯肉に限定して炎症が起こっているものを歯肉炎、さらに進行して歯槽骨や歯根膜にまで炎症が拡大したものを歯周炎と分類します。この両者をあわせて歯周病といいます。
歯周炎が重度になると、口臭、歯の動揺、硬いものを噛めない、歯の移動、食べ物が歯にはさまるなどの症状がでてくるようになり、最終的には抜歯に至るという進行性のやっかいなものです。歯周病は、単に口腔内の問題にとどまらず、糖尿病、心臓内膜症、肺炎、低体重児出産、早産などの重大な病気の原因になるという注目すべき研究が近年相次いで発表され、口の中の問題よりもむしろこのほうが重要視されてきています。
歯周病の原因
歯周病の原因には、全身的な原因と局所的な原因があります。
全身的な原因
遺伝的要因、糖尿病や膠原病などの内科的疾患、女性ホルモンの異常、薬物の副作用、喫煙、食習慣など
局所的な原因
バイオフィルム、歯列不正、噛み合わせが不正、歯ぎしりやくいしばりの習慣、口呼吸、口腔乾燥症、適合が悪い被せ物(銀歯)や義歯など。
このように歯周病の原因には個人差がありますので、まずはお口の中や生活環境、全身的な状態などを診査して原因を突き止める必要があります。患者さんと話し合いその方に合った無理のない治療法を決定し、治療を開始します。
ヨーロッパの虫歯・歯周病の予防法 GBTとは?
当院で行なっているGBT(Guided Biofilm Treatment)とは、世界的研究機関SDA(スイス デンタル アカデミー;スイス)が開発した、全く新しい歯周病の治療法・予防法です。そして、GBTは虫歯の予防も同時にできる画期的なプロトコールです。さらに従来の治療法に比べて安全で高い効果が得られることも、多くの論文から科学的に証明されています。今後の予防歯科のスタンダードになると考えられており、いま世界的に急速に普及しています。
GBTの革新性
歯周病やむし歯の原因はバイオフィルムです。(歯周病の原因は歯石ではありません)GBTはそのバイオフィルムに着目した新しい治療法です。そして、GBTではバイオフィルムを取り除くための革新的な機械が使われます。
これまでの歯周病の治療法では強い抗菌剤や消毒剤、研磨剤等が使用されています。また、重度の歯周病患者には外科手術が行われています。このような従来の治療法は、特に妊婦、高齢者、薬を飲んでいる方に対する危険性が指摘されています。また、健康な方であっても決して安全とはいいきれません。
GBTでは抗菌剤や消毒剤を一切使いません。研磨剤を使いませんので、歯にとても優しい治療法です。また、特殊な症例を除き外科手術も行いません。GBTはすべての患者様に対して安全で、確実な歯周病治療が可能なのです。インプラントが入っている方、入れ歯の方、審美治療をしている方、矯正治療中の方、そして子供のむし歯予防に最も効果的です。
GBTは痛くない
従来の治療法では、器具で引っ掻いて歯石を取り除きます。したがって歯や歯肉に必ず傷をつけてしまいます。これが原因で「術後の痛みが大きい」「歯がしみる」「歯周病や虫歯が再発しやすい」などの欠点がありました。皆様も経験があるかと思います。GBTは、ほとんど痛みを感じませんので、知覚過敏の強い方を除いて麻酔の必要もありません
GBTでは、特殊なパウダーをこの機械で吹き付けてバイオフィルムを取り除きます。この時、歯や歯肉に傷を作りませんので、とても安全です。小さなお子様でも安心してGBTをお勧めできます。
GBTのプロトコール
まず、患者様に関する情報収集をします。お口の中の検査、細菌検査、レントゲン、口腔内写真はもちろん、生活習慣や食事の内容等もインタビューします。そして、歯周病や虫歯なってしまった原因を探ります。
2 DISCROSE
特殊な染色液を使ってバイオフィルムの可視化をします。バイオフィルムを色付けすることによって、歯周病や虫歯の原因であるバイオフィルムの除去が可能となります。また、患者様にも歯周病や虫歯の原因であるバイオフィルムの存在を理解していただきます。
3 MOTIVATE
個々の患者様に合った予防法を提案させていただきます。また、科学的な根拠に基づいた口腔衛生についての正しい知識を患者様に学んでいただきます。
4 AIRFLOW®
特殊な装置AIRFLOW®を使って、天然歯、修復物およびインプラント表面のバイオフィルム、着色、初期の歯石を特殊なパウダーで徹底的に除去します。この特殊なパウダーは、生体に対してとても安全であることが多くの論文から証明されています。特殊な装置AIRFLOW®は消毒剤を一切使いませんので、子供から高齢者、また妊婦さんでも安心して使うことができます。この時、歯肉縁上および縁下の最大4mmまで完全に除去することが可能です。 また、歯肉や舌、口蓋の表面についたバイオフィルムも同時に除去します
> 4〜9㎜の深い歯周ポケットに対しては、これまで外科手術をしないときれいにできないと考えられていました。しかし、特殊なノズルPERIOFLOW®を使ってバイオフィルム、着色、初期の歯石を完全に除去することができるようになりました
6 PIEZON®
最小侵襲性のPIEZON®機器を使用して、わずかに残った歯石を非外科的に除去します。この時も手術は必要ありません。
7 CONTROL
バイオフィルムが残っていないか、マイクロスコープを使って最終的にチェックします。バイオフィルムが完全に除去されていることを確認したら、フッ化物で歯の鏡面を保護します。この時、治療後30分は汚れが付きやすいので、飲食を控えます。
8 RECALL
1〜7を繰り返し、歯周病や虫歯のリスクを再評価します。良好な結果が得られましたら、評価の結果に基づいてメンテナンスに移行して次回のスケジュールを決定します。
患者担当制で予防処置を行っています。
ありす歯科医院には5名の歯科衛生士が在籍しております。患者担当制とは、予防処置のはじめから最後のメンテナンスまで同じ歯科衛生士が担当させていただく制度です。
同じ歯科衛生士が最後まで責任をもってGBTにあたることで、患者さんの生活環境や食生活、お口の状態を総合的に把握出来ると考えているからです。
生活習慣指導
むし歯や歯周病はお口の中のバイオフィルムが原因であることが分かっていますが、その発症にはいずれも生活習慣が深く関わっております。
お口の中を除菌するだけでなく、発症のリスクとなる生活習慣を改善することがGBTを成功させるためにとても重要なのです。
当医院では、予防処置に入る前の初期の段階で生活習慣に関するご質問をさせていただき、その患者さんにあった生活習慣指導、食生活指導、ブラッシング指導などををさせていただいております。
(※)GBTで使用されるパウダーについて
GBT専用のパウダーは、もともと体内の成分でもあるアミノ酸の一種から作られています。これは水に溶ける性質があり、万が一、飲んだり肺に入ったとしても安全あることが証明されています。また、これまでの全ての歯面清掃機器と比べて最も歯にやさしく、かつ確実にバイオフィルムを除去できることも証明されています。